2003/07/26 (土)

贈られた絵

 那々子夫人の開口一番 「私がチケットのことで毎日頭がいっぱいのとき”じゃあ 僕はちょっと・・・”
と、二階のアトリエにこもっていたのは、まあ!これをずっと描き続けていたのね。」
チャーミングな目が睨みます。

箕輪町公演の楽屋に届けられた杉山直画伯(那々子さんのご主人)のF8号の絵2枚ーーそれは楽屋の鏡が一面隠れてしまうほどの大きさでした。それに2枚ともが私の自宅周辺の深大寺・神代植物公園がモデルだったのです。ここは私がセリフを覚えるところ、いき詰まり悶々と苦悩する「たった一人の天井のない稽古場」でもありました。

以前何かの拍子に言った私のその一言を画伯が覚えていてくださっていたんでしょうね。本番のこの日に間に合うように一筆一筆をキャンパスにーーー迫りくる緊張感を絵の中の”樹々””くぐり抜ける風””木立の中の人影”がどれほどときほぐしカタルシスとなったことでしょう。

ご夫妻とのご縁は、舞台を通じていただきました。那々子さんの故郷は箕輪町。東京在住の人と故郷をつなぐ実行委員としてここ数ヶ月東奔西走!!そのうしろに画伯の寛い理解(愛)があったことは勿論です。2人3脚の素晴らしさをいたるところで見せていただきました。

透明感があり、静謐な雰囲気をかもしだす絵は画伯のお人柄そのもの。国内外の風景画を見せていただきましたがその「視点の確かさ」「あたたかさ」がにじみ出ていて私を魅きつけて離しません。ご鑑賞なさいませんか。




「さちこち」バックナンバー目次へ戻る