2003/09/24 (水)

日本海の落日(その2)

乾杯ーーかんぱ〜〜い!
地元実行委員の方々と何度杯をかかげたことか、交し合った事か。
全国を公演しますが、みなさんボランティア精神で何ヶ月もこの[仕事]にかかわられるのです。一人一人を説き伏せ、話し合い、ことの意味が相手に把握できたら、おもむろにチケットを買って鑑賞して頂く。このプロセスを経て、当日を迎えるので幕が下りた瞬間は、思わずだれ彼かまわず「ばんざ〜〜〜い!!」となるのです

昭和20年 ひとびとは敗戦のなか、生きるのに必死。そこから「柏崎演劇研究会」が生まれ、夢と希望を与え続けてきました。
以来今日まで絶えることなく、その舞台は新潟県のみならず東京新国立、海外へと飛翔し続けています。

1部の朗読劇「いくさ あらすな」は満州開拓団の方々の地獄の逃避行を当時校長先生だった深田信四郎・信ご夫妻の著書「二龍山(アルロンシャン)」から長井 満氏が脚色・演出なされたもの。
長井氏はご自身も幼児期、満州にいらした事もあり演劇にひたむきな情熱を傾けられるロマンティスト。
平和を願い戦争を憎むという芯の機軸が全くブレない方で、私も何度もお会いしては同世代の生きていく姿として”肝胆相照らしあい”ました。

当日の新聞は「抑制のきいた朗読劇から40人の声が高らかに
平和を訴えていた」と絶賛。
私の舞台は「一人芝居にしか出来なかった歴史の重さがひしひしと」と結ばれていました。

日本海に沈む夕日が観たいと無理をお願いしました。
薄グレー色したの雲が帯状になりその合間に橙色のあの夕日が。
満州の大地に沈む夕日と重ね合わせ、静かに穏やかに時を刻むーーー私には舞台を通して、柏崎の地で伝える事が出来た満ち足りた心を、心地よく鎮めさせる”日本海の落日”でもありました。



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